静脈瘤の治療法と対策
やっかいなことに静脈瘤は、一度できてしまうと自然には治りません。
静脈瘤がいったんできてしまうと、足がむくんだり、痛みがあるなどの症状が現れることがあります。
対策としては、まず、足の血行をよくすることです。
足を高く上げて寝たり、仕事中でも合間を見て椅子に足を上げたりすることも血行を滞らせない方法です。
弾力ストッキング(サポートストッキング)
弾力ストッキングとは、血液が足によどんでたまらないように足の静脈瘤を通常のストッキングより強く圧迫するものです。これをはくと、多くの患者さんに「足が軽くなった」と喜ばれ、実際に足の静脈瘤が改善されることが証明されています。また、弾力ストッキングは以下にご紹介する硬化療法やストリッピング手術の後にも使います。硬化療法
直接足の静脈瘤に、薬(硬化剤)をいつもより細い針で注射する治療です。硬化剤は静脈を刺激してペチャンコにし、これによって静脈瘤は小さく目立たなくなり症状もなくなります。しばらくは注射をした部分にしこりや色素沈着が起こりますが、次第に薄くなってなくなります。硬化療法に要する時間は1回10分~15分程度です。
結紮手術(局所麻酔)を併用した硬化療法
血液の逆流の強い患者さんに対しては、足の表在静脈の結紮手術をおこないます。これは、皮膚に小さい切開(2cm以下)を加え、静脈をしばって血液の逆流を止める手術。血流超音波計で場所を決めておいて、片足の数カ所(2~6カ所程度)に結紮手術をおこないます。よく「血管をしばってしまうと血液の流れが悪くなるなるのでは」と心配されますが、足の血液は表在静脈よりずっと太い静脈(深部静脈)を流れるので問題ありません。結紮手術は局所麻酔ででき、所要時間は1カ所約10分。通常、外来通院でおこなうので、当日は普通に歩いて帰宅でき、翌日から仕事・家事とも通常どおりにできます。ただし傷があるので入浴は1週間できません。希望される患者さんには、入院での結紮手術もおこなっています。
ストリッピング手術(全身麻酔)
結紮手術と同じ小さな皮膚切開で足の大伏在静脈あるいは小伏在静脈といわれる太い静脈を引き抜く手術で、100年も前からおこなわれています。多くは全身麻酔でおこないますので1週間前後(4~10日間)の入院を必要としますが、どんな大きな下肢静脈瘤も確実に治療できます。